放射性核種の平均寿命について

平均寿命については以前も記事を書いたのですが、今回はできるだけ簡潔に書いていきます。

核種の平均寿命といってもイメージしづらいと思うので、人間の平均寿命で考えてみましょう。

Q1、2人が50歳で、3人が60歳で、5人が70歳で亡くなった場合、これらの人の平均寿命は何歳でしょうか。

A、$\frac{50\times 2+60\times 3+70\times 5}{2+3+5}=\frac{630}{10}=63歳$

ここまでは問題無く理解できるかと思います。
それでは次。

Q2、$A(t_1)$人が$t_1$歳で、$A(t_2)$人が$t_2$歳で、$A(t_3)$人が$t_3$歳で亡くなった場合、これらの人の平均寿命は何歳でしょうか。

A、$\frac{t_1 A(t_1)+t_2 A(t_2)+t_3 A(t_3)}{A(t_1)+A(t_2)+A(t_3)}歳$

Q2では「$t_1$歳で$A(t_1)$人が亡くなる」と考えていますが、これを放射性核種に置き換えると「$t_1$経過すると$A(t_1)$個が壊変する」、つまり「$t_1$経過すると放射能は$A(t_1)$である」と言い換えることができそうですね。
(若干飛躍していますが、厳密な話は今回は置いておきます)

Q2では$t_1$、$t_2$、$t_3$歳で亡くなる場合(言い換えると$t_1$、$t_2$、$t_3$経過で壊変する場合)で考えていますが、経過時間を0から無限大まで考えるとどうなるでしょうか。
平均寿命$\tau$は下式のようになります。
$\tau=\frac{\int^{\infty}_{0}tA\left(t\right)dt}{\int^{\infty}_{0}A(t)dt}$

放射能の式$A(t)=\lambda N_0 e^{-\lambda t}$を代入して、
$\tau=\frac{\int^{\infty}_{0}t\lambda N_0 e^{-\lambda t}dt}{\int^{\infty}_{0}\lambda N_0 e^{-\lambda t}dt}$

ここで
$\int^{\infty}_{0}\lambda N_0 e^{-\lambda t}dt\\=-N_0 \int^{\infty}_{0}\left(-\lambda e^{-\lambda t}\right)dt\\=-N_0\left[e^{-\lambda t}\right]^{\infty}_{0}\\=-N_0\left(0-1\right)=N_0$
($N_0$は最初の原子数なので、$A(t)$をtが0から無限大に渡って積分すれば$N_0$になるのは当たり前ではあります)

よって、
$\tau=\frac{\int^{\infty}_{0}t\lambda N_0 e^{-\lambda t}dt}{N_0}\\=\lambda\int^{\infty}_{0}t e^{-\lambda t}dt$

部分積分によって計算します。
$\int^{\infty}_{0}t e^{-\lambda t}dt\\=[-\frac{1}{\lambda}t e^{-\lambda t}]^{\infty}_{0}-\int^{\infty}_{0}\left(-\frac{1}{\lambda}e^{-\lambda t}\right)dt\\=[-\frac{1}{\lambda}t e^{-\lambda t}]^{\infty}_{0}-[\frac{1}{{\lambda}^2}e^{-\lambda t}]^{\infty}_{0}\\=-\frac{1}{\lambda}\left(0-0\right)-\frac{1}{{\lambda}^2}\left(0-1\right)=\frac{1}{{\lambda}^2}$

よって平均寿命は、
$\tau=\lambda\cdot\frac{1}{{\lambda}^2}=\frac{1}{\lambda}$
と求まります。

ちなみに$\tau$経過時点での原子数は、
$N(\tau)=N_0 e^{-\lambda \cdot \frac{1}{\lambda}}=\frac{N_0}{e}$
よって、平均寿命の時間が経過すると原子数は$\frac{1}{e}$になります。

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