2020年北海道大学物理2-1(大学入試)

普段は放射線取扱主任者や診療放射線技師国家試験の問題を解説していますが、今回大学入試の問題を取り上げたのは、これがサイクロトロンに関する問題であるからです。
加速器と聞くと難しく感じる人も多いと思いますが、原理は高校物理で説明できます。

荷電粒子の受ける力の大きさFは$F=qE$、向きはy軸正方向です。
荷電粒子は$P_1$から$P_2$に、y軸正方向にRだけ移動します。
よって粒子が受ける仕事Wは
$W=F\times R=qER\cdots(1)$

受けた仕事の分だけ粒子はエネルギーを得て、運動エネルギーに変換されるから、$P_2$での速度をvとすると、
$\frac{1}{2}m{v}^2=qER\\v=\sqrt{\frac{2qER}{m}}\cdots(2)$
(ちなみに、重力は無視していいので位置エネルギーは考える必要がありません)

粒子が磁場の向きに対して垂直に入射しているので、粒子は等速円運動をします。
磁束密度の大きさをBとすると、粒子が磁場から受けるローレンツ力の大きさfは$f=qvB$
円運動の半径はRですので、運動方程式を考えると、
$qvB=m\frac{v^2}{R}\\B=\frac{mv}{qR}=\frac{m}{qR}\sqrt{\frac{2qER}{m}}=\sqrt{\frac{2mE}{qR}}\cdots(3)$

$P_3$から$P_4$までの間に(1)と同じだけの仕事を受けるから、$P_4$における速度を$V$とおくと、
$\frac{1}{2}m{v}^2=q\cdot2ER\\V=\sqrt{\frac{2\cdot 2qER}{m}}=\sqrt{2}v$

よって、ローレンツ力$f^{\prime}$は$f^{\prime}=qVB$
$P_4$から$P_5$までの円運動の半径を$aR(a>0)$とすると、
$qVB=m\frac{V^2}{aR}\\B=\frac{mV}{qaR}=\frac{\sqrt{2}}{a}\cdot\frac{mv}{qR}$
Bは空間IIと空間IVで同じであるから、(3)の式と係数比較をすると$a=\sqrt{2}$となります。
よって円運動の半径は$\sqrt{2}R$である$\cdots(4)$。

ちなみに、粒子が受ける仕事は空間Iと空間IIIでしか考えていませんが、ローレンツ力は荷電粒子の進行方向に垂直に働くので、磁場による仕事は0です。
また、冒頭に荷電粒子の速度は光速に比べて十分小さいとあるので、相対論は考慮せずに高校で主に習うような物理で解けば問題無いです。

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