2009年 京都大学 物理 2-2【大学入試】

穴埋め

はじめの荷電粒子の速度を$v_0$とすると、粒子が軌道を1周するのにかかる時間$T_0$は、距離÷時間で、
$T_0=\frac{2\pi r}{v_0}$
ここで、等速円運動の運動方程式から、
$qv_0B_0=m\frac{{v_0}^2}{r}\\v_0=\frac{qrB_0}{m}$
したがって、
$T_0=\frac{2\pi r}{\frac{qrB_0}{m}}=\frac{2\pi m}{qB_0}$
よって時間$T_0$の間に電荷$q$が通過するから、単位時間当たりでは、
$\frac{q}{T_0}=\frac{q}{\frac{2\pi m}{qB_0}}=\frac{q^2B_0}{2\pi m}\cdots(ト)$

問題文中に「円環に誘起される起電力は円環を貫く磁束の単位時間当たりの変化」とあるので、この文章のまま起電力を求めてみましょう。
磁場変化を与える前の円環を貫く磁束を$\Phi$とすると、円環の面積と磁束密度から、
$\Phi=B_0\times \pi r^2=\pi r^2 B_0$
時間$\Delta t$に磁束を$\Delta \Phi$だけ変化させるとすると、
$\Delta \Phi=\pi r^2 \Delta B$
よって単位時間当たりの磁束変化、すなわち起電力$V$は
$V=\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}=\pi r^2 \frac{\Delta B}{\Delta t}\cdots(チ)$

円環1周で$V$の起電力が生じているから、電場Eは、
$E=\frac{V}{2\pi r}=\frac{\pi r^2 \frac{\Delta B}{\Delta t}}{2\pi r}=\frac{r \Delta B}{2 \Delta t}\cdots(リ)$

電場$E$で電荷$q$の荷電粒子が受ける力の大きさFは、
$F=qE$
$\Delta t$間に粒子が受ける力積は、
$F \Delta t=qE\Delta t$
受けた力積の分だけ運動量が増加するから、$\Delta t$間の速さの増分を$\Delta v$とすると、
$qE\Delta t=m\Delta v\\ \Delta v=\frac{qE}{m}\Delta t$
初期の速さ$v_0$は、(ト)を計算した際の式から、
$v_0=\frac{qrB_0}{m}$
よって、求める速さは、
$v_0+\Delta v\\=\frac{qrB_0}{m}+\frac{qE}{m}\Delta t\\=\frac{qrB_0}{m}+\frac{q\cdot\frac{r \Delta B}{2 \Delta t}}{m}\Delta t\\=\frac{qrB_0}{m}+\frac{qr}{2m}\Delta B\\=\frac{qr}{m}\left(B_0+\frac{1}{2}\Delta B\right)\cdots(ヌ)$

次の(ル)に関してですが、静止座標系なのか回転座標系なのか言及が無いです。
中心方向の力を静止座標系で考える場合はローレンツ力だけで良いですが、回転座標系の場合はローレンツ力と遠心力の合力を考える必要があります。
問題文中でわざわざ「合力」と述べているので、今回は回転座標系で考えます。

また、計算中に$\left(\Delta B\right)^2$を微小量と考え、無視して計算しています。
しかし、これが本当に無視できるのかについては、問題文中に言及が無いので何とも言えないです。

それでは計算していきます。
ローレンツ力$f_1$は、
$q\left(v_0+\Delta v\right)\left(B_0+\Delta B\right)\\ =q\cdot\frac{qr}{m}\left(B_0+\frac{1}{2}\Delta B\right)\left(B_0+\Delta B\right)\\=\frac{q^2r}{m}\left({B_0}^2+\frac{3}{2}B_0\Delta B\right)$
遠心力$f_2$は、
$m\frac{\left(v_0+\Delta v\right)^2}{r}\\=m\frac{\left\{\frac{qr}{m}\left(B_0+\frac{1}{2}\Delta B\right)\right\}^2}{r}\\=\frac{qr^2}{m}\left(B_0+\frac{1}{2}\Delta B\right)^2\\=\frac{q^2r}{m}\left({B_0}^2+B_0\Delta B\right)$
中心方向の合力は、
$f_1-f_2\\=\frac{q^2r}{m}\left({B_0}^2+\frac{3}{2}B_0\Delta B\right)-\frac{q^2r}{m}\left({B_0}^2+B_0\Delta B\right)\\=\frac{q^2r}{m}\cdot\frac{1}{2}B_0\Delta B\\=\frac{q^2rB_0}{2m}\Delta B\cdots(ル)$

中心方向に合力(ル)が働くので、軌道半径は「3、小さくなる」ことが分かります…(ヲ)。

問2

ベータトロンについて多少知識が無いと、問2の問題文で何を言いたいのか理解しづらいと思うのですが、軌道半径を変えないで粒子を加速させるには、軌道内の磁束と軌道上の磁束密度をどうしたらいいかということを聞いています。
問題文で示されていますが、(ル)で求めたように回転中心方向の力を考えて、それが釣り合っていれば軌道が一定になるということを利用します。

誘導起電力$V$は、
$V=\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}$
よって電場Eは、
$E=\frac{V}{2\pi r}=\frac{1}{2\pi r}\cdot\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}$
電荷$q$の粒子が受ける力の大きさ$F$は、
$F=qE=\frac{q}{2\pi r}\cdot\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}$
$\Delta t$の間に受ける力積は、
$F\Delta t=\frac{q}{2\pi r}\cdot\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\cdot\Delta t=\frac{q}{2\pi r}\Delta \Phi$
運動量と力積の関係から、速さの増分$\Delta v$は、
$m\Delta v=\frac{q}{2\pi r}\Delta \Phi\\ \Delta v=\frac{q}{2\pi mr}\Delta \Phi$
初期の速さ$v_0$は、(ト)を計算した際の式から、
$v_0=\frac{qrB_0}{m}$
よって、加速後の粒子の速さは、
$v_0+\Delta v\\=\frac{qrB_0}{m}+\frac{q}{2\pi mr}\Delta \Phi\cdots(1)$
ここで、ローレンツ力と遠心力のつり合いを考えます。
(ル)を求めた際の式から、
$f_1=f_2\\q\left(v_0+\Delta v\right)\left(B_0+\Delta B\right)=m\frac{\left(v_0+\Delta v\right)^2}{r}\\v_0+\Delta v=\frac{qr\left(B_0+\Delta B\right)}{m}\cdots(2)$
ローレンツ力と遠心力がつり合うためには、速さが(2)のようにならなければいけないから、(1)と(2)より、
$\frac{qrB_0}{m}+\frac{q}{2\pi mr}\Delta \Phi=\frac{qr\left(B_0+\Delta B\right)}{m}\\ \frac{q}{2\pi mr}\Delta \Phi=\frac{qr}{m}\Delta B\\ \Delta \Phi=2\pi r^2\Delta B$
上式が成立するように、$\Delta \Phi$と$\Delta B$を変化させればよいことが分かります。

問3

最初に考えたように、磁場の強度が一様な場合の磁束と磁束密度の変化の関係は、(チ)を求めた際の式から、
$\Delta \Phi=\pi r^2 \Delta B$
問2で求めた関係式は、
$\Delta \Phi=2\pi r^2\Delta B$

2式を比較すると、問2の関係が成立するためには、磁束密度が一様な場合に比べて軌道内の磁束をより大きく変化させる必要があることが分かります。
図の磁力線の密度が磁束密度の大きさに対応しているため、軌道内の磁束がより大きくなっているのは(b)です。

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