放射化分析の計算式(その2)


前回記事で下式を導出しました。
$$N=\frac{N_0f\sigma}{\lambda}\left(1-e^{-\lambda t}\right)\cdots(4)$$
原子数が(4)式で表されるため、放射能は下式のようになります。
$$A=\lambda N=\lambda \times \frac{N_0f\sigma}{\lambda}\left(1-e^{-\lambda t}\right)\\A=N_0f\sigma\left(1-e^{-\lambda t}\right)\cdots(5)$$

生成核種の半減期をTを用いると、\(\lambda=\frac{ln2}{T}\)と表せます。
よって、下式をxについて解くと、
$$e^{-\lambda t}=\left(\frac{1}{2}\right)^x\\-\lambda t=x\times ln\left(\frac{1}{2}\right)\\\lambda t=x\times ln2\\x=\frac{\lambda t}{ln2}=\frac{\frac{ln2}{T}t}{ln2}=\frac{t}{T}$$
よって
$$e^{-\lambda t}=\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}$$
したがって(5)式は下記のように表される。
$$A=N_0f\sigma\left\{1-\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\right\}\cdots(6)$$
計算問題では(5)式ではなく(6)式を使うことがほとんどですので、覚えておいた方が良いです。

\(S=1-e^{-\lambda t}=1-\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)とおくと、
$$A=N_0 f \sigma S$$
このときのSを飽和係数と呼びます。

ここで、照射時間tについて下記の値を代入してSを計算します。
\(t=2T\rightarrow S=0.75\)
\(t=5T\rightarrow S=0.968\cdots\)
\(t=10T\rightarrow S=0.999\cdots \approx1\)
よって照射時間tを大きくすると、S=1と近似することができることが分かります。

今度は逆にtが小さい場合の近似について考えます。
\(f(t)=e^{-\lambda t}\)として、マクローリン展開をすると下記のようになります。
(マクローリン展開を知らない人は、こんな展開方法があるんだなくらいに流して大丈夫です)
$$f(t)=f(0)+f^{\prime}(0)t+\frac{1}{2!}f^{\prime\prime}(0) t^2+\cdots\\e^{-\lambda t}=e^0-\lambda e^0 t+\frac{{\lambda}^2}{2!}e^0 t^2+\cdots\\e^{-\lambda t}=1-\lambda t+\frac{1}{2!} \left(\lambda t\right)^2+\cdots$$
\(\lambda t\)が1に比べて無視できるほど小さいとき、
$$e^{-\lambda t}=1-\lambda t$$
と近似できる。よって、
$$S=1-\left(1-\lambda t\right)=\lambda t=\frac{ln2}{T}t$$
として計算することができる。
本来であればどれくらいの誤差を許容するかによって、近似の取り方も考える必要があるのですが、放射線取扱主任者試験でそこまで問われることは無いと思います。
明らかに小さいと思ったら近似しても大丈夫です。

ちなみに、
\(\frac{t}{T}=0.2\)で誤差1%程度、
\(\frac{t}{T}=0.7\)で誤差10%程度
となりますので、もし余裕があれば選択肢の数値を見て、どの程度の誤差が許容できるのか考えてみてはいかがでしょうか。

今回は以上となります。
次回は原子数の計算や存在比を絡めた計算について解説していきます。

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