コンプトン散乱の式(その1)


今回はコンプトン散乱に関する下式について解説していきます。

$$E=\frac{E_0}{1+\frac{E_0}{m_0c^2}\left(1-cos\theta\right)}$$

上式を暗記しているという方も多いと思いますが、その導出については知っていますでしょうか。
第1種放射線取扱主任者試験を受ける方は、その導出について理解しておくと物化生(今年からは物理の多肢択一?)で役に立つことがあると思いますので、ご覧いただければと思います。

※今回の解説では特殊相対性理論について言及していますが、特殊相対性理論に関しては詳しく解説しませんので、最初に断っておきます。

入射光子、散乱光子、反跳電子について、下記のように文字をおきます。

\(E_0\):入射光子のエネルギー
\(E\):散乱光子のエネルギー
\(E_e\):反跳電子の全エネルギー
\(P_e\):反跳電子の運動量
\(m_0\):電子の静止質量
\(c\):光速
\(\theta\):光子の散乱角
\(\phi\):反跳電子の反跳角

(1)エネルギー保存則
(2)入射光子を垂直方向の運動量保存則
(3)入射方向の運動量保存則
から以下の3式が成立します。
$$E_0+m_0c^2=E+E_e\cdots\left(1\right)\\0=\frac{E}{c}sin\theta-P_esin\phi\cdots\left(2\right)\\\frac{E_0}{c}=\frac{E}{c}cos\theta+P_ecos\phi\cdots\left(3\right)$$

ちなみに、(1)の左辺で突然\(m_0c^2\)が出ているのは、両辺は相対論における全エネルギーについて保存則を考えているからです。
左辺には静止エネルギー\(m_0c^2\)の項が必要になります。
それに対して右辺は、電子の全エネルギー\(E_e\)を考えてるため、静止エネルギーも含んでいます。

相対論においては下式も成立します。
$$\left(\frac{E_e}{c}\right)^2-{P_e}^2={m_0}^2c^2\cdots(4)$$
(4)式については詳しく説明しようとすると、話が脱線してしまう気がするので、今回の解説では証明等は無しで使用します。今度、機会があれば解説します。

今回はここまでです。
次回は式を解いていきます。

タイトルとURLをコピーしました