放射性壊変について(その2)


前回は下式の導出で終了しました。
$$\frac{dN_t}{dt}=-\lambda N_t\cdots(式1)$$

式1は曲線を微小の直線に分けて考え、その直線の傾き(1秒間に何壊変に相当するペースなのか)という視点で組み立てた式です。この式だけでは各微小な直線の傾きについて考えているだけで、このままでは壊変数を求めることはできません。
そこで登場するのが積分の考え方です。

積分とはざっくり言うと、各微小区間についての和をとる操作です。つまり式1は各微小区間についての壊変ペースについて表しているため、その和をとることで壊変数を求めることができるのです。

もう少し詳しく説明していきます。
下記の壊変について考えます。

0~1秒の間…40個壊変
1~2秒の間…20個壊変
2~3秒の間…10個壊変

この場合、3秒間の原子数の変化は、1秒間ごとに合計していって、
\(-\left(40+20+10\right)=-70\)個となります。
(壊変により減少するので、原子数の変化はマイナスをつけます)
当たり前だと思うかもしれませんが、この考え方が基礎になります。
それでは次です。

0~0.5秒の間…40個壊変
0.5~1秒の間…20個壊変
1~1.5秒の間…10個壊変

この場合、原子数の変化は0.5秒間ごとに合計していって、
\(-\left(40+20+10\right)=-70\)個となります。
それでは次の場合はどうでしょうか。

0~0.5秒の間…1秒間に80個壊変のペース
0.5~1秒の間…1秒間に40個壊変のペース
1~1.5秒の間…1秒間に20個壊変のペース

この場合の原子数の変化はどうなるでしょうか。
1秒間の壊変ペースから0.5秒当たりの壊変数を求める必要があります。
\(-\left(80\times 0.5+40\times 0.5+20\times 0.5\right)=-\left(40+20+10\right)=-70\)個
少し面倒くさくなってきましたね。
それでは一気に核心に迫ります。
次の場合はどうでしょうか。

非常に短い時間をdtとして、dt秒間の3区間つ考える。
0~dt秒の間…1秒間に80個壊変のペース
dt~2dt秒の間…1秒間に40個壊変のペース
2dt~3dt秒の間…1秒間に20個壊変のペース
この場合、原子数の変化は先ほどと同じように、
\(-\left(80\times dt+40\times dt+20\times dt\right)=-\left(80+40+20\right)dt=-140dt\)個
(2dt、3dtといった表現はあまり良くないとは思うのですが、便宜上こう表現します。)

この場合、非常に短い時間dtを3つ分しか考えていませんが、この細かい時間を無数に積み重ねていくとどうなるでしょうか。

イメージとしては
0~dt秒の壊変数
dt~2dt秒の壊変数

(n-1)dt~ndt秒の壊変数
というように、細かい時間の壊変数を無数に計算して和をとると、0~ndt秒間の原子数の変化が求まるといった感じです。

このようにしてある特定の時間まで無数に足していくのが積分の考え方です。
前回の記事でt~t+dt秒間における壊変ペースは、下記のように求まることが分かりました。
$$\frac{dN_t}{dt}=-\lambda N_t\cdots(式1)$$
t~t+dt秒の間に\(\frac{dN_t}{dt}\)のペースで壊変すると、その間のdt秒間の原子数の変化は、
$$\frac{dN_t}{dt}\times dt個$$
となります。
(\(\frac{dN_t}{dt}\)はマイナスも含む値なので、マイナスの符号は付けていません)
上式のtの値を変化させて、無数のdt秒の区間についての和をとることを、下記のように表現します。
$$\int \frac{dN_t}{dt}dt$$
式1の右辺についても同様に下記のように表現できます。
$$\int-\lambda N_tdt$$

よって下記のような式が成り立ちます。
$$\int\frac{dN_t}{dt}dt=\int-\lambda N_t dt$$
これから上式を計算していくのですが、具体的な積分計算に関しては証明しませんので、必要に応じて高校数学の解説サイト等をご覧ください。
ちなみに下記の2つの式を利用して解いています。
$$\int \frac{1}{x}dx=lnx+C\\ \int dx=x+C\\※lnxとはlog_exのこと$$
それでは計算していきます。
$$\int\frac{dN_t}{dt}dt=\int-\lambda N_t dt\\ \int \frac{1}{N_t}dN_t=-\lambda \int dt\\lnN_t=-\lambda t +C\\N_t=e^{-\lambda t +C}=e^{-\lambda t}e^C\cdots(式2)\\Cは積分定数$$
時刻\(t=0\)における原子数を\(N_0\)として式1に代入すると、
$$N_0=e^{-\lambda \times 0}e^C=1 \times e^C=e^C$$
\(e^C=N_0\)を式2に代入すると、
$$N_t=N_0e^{-\lambda t}\cdots(式3)$$

式3をグラフで表すと下記のようになります。

このように原子数は壊変によって指数関数的に減少することが分かりました。

上記の微積計算がどうしても苦手という方は、まず積分計算のザックリとした意味だけでも覚えていただければと思います。そして、途中の積分計算は無視してもいいので、最低限(式1)を計算すると(式3)になるということは覚えておいてください。

以上となります。

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