平成22年 物化生 問3-3【第一種放射線取扱主任者】

大気中に存在するラドンと言えばこの問題文中に出てくる2種類だけですので、できれば暗記してしまうのが良いと思います。
今回の問題の場合、Gは計算で求めることができますが、H、I、J、Kは暗記していないと解けないでしょう。

先に答えを言ってしまうと、ラドンの同位体で問題になるのは$^{222}Rn$と$^{220}Rn$の2種類です。
そして、$^{222}Rn$も$^{220}Rn$もα壊変してポロニウムになります(詳しくはアイソトープ手帳等の壊変系列の図を参照してください)。

質量数が222、220の2種類
α壊変する
壊変してポロニウムになる(ラドンの原子番号は86、ポロニウムは84)
この3つさえ覚えておけば、大気中のラドンに関する基本的な問題には対応できると思います。
余裕があったら半減期も覚えておいて損は無いです。
※ラドンの測定法に関する問題は別途知識が必要ですが、出題されるとしても誘導はあると思いますので、勉強するのは興味のある人だけで十分でしょう。

それでは解いていきましょう。
まず$^{222}Rn$に関して。
$222=4\times 55+2$ですので、$4n+2$のウラン系列に属します。
壊変方式はα壊変です。

次に$^{220}Rn$に関して。
$220=4\times 55$ですので、$4n$のトリウム系列に属します。
壊変方式はα壊変です。

$^{226}Ra$(半減期:$1600$年)と$^{222}Rn$(半減期:$3.8$日)は 永続平衡が成立します。
永続平衡が成立しているとき、放射能が等しくなることを利用して$^{222}Rn$の原子数を求めていきます。

アボガドロ定数を$N_A$、$^{226}Ra$の物質量を$n_{Ra}$、原子数を$N_{Ra}$、半減期を$T_{Ra}$、壊変定数を$\lambda_{Ra}$とおくと、$^{226}Ra$の放射能$A_{Ra}$は、
$A_{Ra}=\lambda_{Ra}N_{Ra}=\frac{ln2}{T_{Ra}}n_{Ra}N_A$
同様にして$^{222}Rn$の放射能$A_{Rn}$は、
$A_{Rn}=\frac{ln2}{T_{Rn}}n_{Rn}N_A$

永続平衡が成立しているから、
$A_{Rn}=A_{Ra}\\ \frac{ln2}{T_{Ra}}n_{Ra}N_A=\frac{ln2}{T_{Rn}}n_{Rn}N_A\\n_{Rn}=\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}n_{Ra}$

ここで、$^{226}Ra$の物質量$n_{Ra}$は、
$n_{Ra}=\frac{226\times 10^-{3}[g]}{226[g/mol]}=1\times 10^{-3}[mol]$
また、
$T_{Ra}=5.0\times 10^{10}$
$T_{Rn}=3.8\times 24\times 60\times 60=3.8\times 86400$
よって、
$n_{Rn}=\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}n_{Ra}\\=\frac{3.8\times 86400\times 10^{-3}}{5.0\times 10^{10}}\\=7.6\times 86400\times 10^{-14}\\=7.6\times 0.864\times 10^{-9}$

計算が面倒なので、範囲を絞っていきましょう。
$7\times 0.8<7.6\times 0.864<8\times 0.9\\5.6<7.6\times 0.864<7.2\\ 5.6\times 10^{-9}<7.6\times 0.864\times 10^{-9}<7.2\times 10^{-9}\\ 5.6\times 10^{-9}<n_{Rn}<7.2\times 10^{-9}$
ここで選択肢を確認すると、$n_{Rn}$が上記範囲に収まっているのは「3、$6.6\times 10^{-9}$」だけなので、これが答えになります。

次に(ク)(ケ)です。
計算すれば分かるのですが、$^{226}Ra$と$^{222}Rn$の放射平衡が成立するためには約30日かかります。
そのため、上の計算のように「放射能が等しいから…」という方法では求めることができません。
壊変に関する式から、放射能を求めていきます。

こちらの式を使用して計算します。
$A_2=\frac{\lambda_2}{\lambda_2-\lambda_1}A_{10}\left(e^{-\lambda_1t}-e^{-\lambda_2t}\right)$
詳しくは下記事を参照してください。

式を変形します。
$A_2=\frac{\frac{ln2}{T_2}}{\frac{ln2}{T_2}-\frac{ln2}{T_1}}A_{10}\left(e^{-\frac{ln2}{T_1}t}-e^{-\frac{ln2}{T_2}t}\right)\\=\frac{T_1}{T_1-T_2}A_{10}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T_1}}-\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T_2}}\right\}$

よって今回の問題では下記のようにできます。
$A_{Rn}=\frac{T_{Ra}}{T_{Ra}-T_{Rn}}A_{Ra}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T_{Ra}}}-\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T_{Rn}}}\right\}$

3.8日後の放射能を求めたいので、$t=T_{Rn}$を代入すると、
$A_{Rn}=\frac{T_{Ra}}{T_{Ra}-T_{Rn}}A_{Ra}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}}-\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{T_{Rn}}{T_{Rn}}}\right\}\\=\frac{1}{1-\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}}A_{Ra}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}}-\frac{1}{2}\right\}$

ここで$T_{Ra}\gg T_{Rn}$であるから、$\frac{T_{Rn}}{T_{Ra}}\approx 0$として、
$A_{Rn}=\frac{1}{1-0}A_{Ra}\left\{\left(\frac{1}{2}\right)^{0}-\frac{1}{2}\right\}\\=A_{Ra}\left(1-\frac{1}{2}\right)=\frac{A_{Ra}}{2}$

よって、
$A_{Rn}=\frac{A_{Ra}}{2}\\ \frac{ln2}{T_{Rn}}n_{Rn}N_A=\frac{1}{2}\frac{ln2}{T_{Ra}}n_{Ra}N_A\\n_{Rn}=\frac{T_{Rn}}{2T_{Ra}}n_{Ra}$
したがって、物質量は(キ)の半分になるから、「1、$3.3\times 10^{-9}$」となります。

この時の放射能は、
$A_{Rn}=\lambda_{Rn}N_{Rn}\\=\frac{ln2}{T_{Rn}}n_{Rn}N_A\\=\frac{ln2}{T_{Rn}}\frac{T_{Rn}}{2T_{Ra}}n_{Ra}N_A\\=\frac{ln2}{2T_{Ra}}n_{Ra}N_A\\ \approx \frac{0.7}{2\times 5.0\times 10^{10}}\times 1.0\times 10^{-3}\times 6.0\times 10^{23}\\=4.2\times 10^{9}$
よって(ケ)は「2、$4.2\times 10^{9}$」となります。

タイトルとURLをコピーしました