平成25年 物化生 問2-I【放射線取扱主任者】

早速解説していきます。

(ア)は言うまでもなく「3、クーロン力」です

(A)はクーロンの法則より
$F=k\frac{e\times ze}{r^2}=k\frac{ze^2}{r^2}$
ですので「1、$\frac{ze^2}{r^2}$」。

(イ)ですが、物体の運動量の変化は物体の受けた力積に等しいので、解答は「8、力積」です。

次に(B)と(C)です。
「早速各方向のクーロン力を考えて時間で積分して…」って求めていってもいいのですが、少し立ち止まってみましょう。
選択肢式の計算問題で何も考えずにゴリゴリ計算するのは時間の無駄になる場合もあります。
「選択肢を確認したらここまで正確に筆算する必要が無かった…」
「明らかに間違いの選択肢を除外して考えればミスに気づけたのに…」
といったことになるともったいないです。

まず(B)に関してですが、選択肢にsinやcos、整数しか無いのが不自然に感じませんか?
運動量を考えているのに、(1)式の中にクーロン力に登場する文字が一切出てこないことになります。
そこで冷静になって考えてみると、荷電粒子が電子に近づくときと遠ざかるときでは、Y軸対称なX軸方向のクーロン力を受けます。
ですので、運動量を無限遠から近づいて無限遠に遠ざかるまで積分すると0になります。
ですので(B)は「9、0」です。
こういう荷電粒子の相互作用に関する問題で「無限遠がうんたら…」って出てきたら、運動量が近づくときと遠ざかる時で相殺されて0になるパターンは多いと思います。

それでは次に(C)を求めます。
電子が受けるクーロン力のY軸方向成分の大きさを$F_Y$とすると、
$F_Y=Fcos\theta$
$\left(力積\right)=\left(力\right)\times\left(時間\right)$ですので、$F_Y$を時間で積分していきましょう。
$P_Y=\int^{\infty}_{-\infty}Fcos\theta dt=\int^{\infty}_{-\infty}k\frac{ze^2}{r^2}cos\theta dt$
よって、(C)は「3、$cos\theta$」です。

$P=\sqrt{{P_X}^2+{P_Y}^2}=\sqrt{0^2+{P_Y}^2}=P_Y$
よって、$P_Y$を$\theta$とbを使って表していきます。
$b=rcos\theta$
より、
$r=\frac{b}{cos\theta}$
(2)式に代入すると、
$P=P_Y=\int^{\infty}_{-\infty}k\frac{ze^2}{r^2}cos\theta dt=\int^{\infty}_{-\infty}k\frac{ze^2}{b^2}cos^3\theta dt$
よって(D)は「2、$\frac{ze^2}{b^2}$」です。

上式は時間tについて積分する形になっていますが、式の中に登場する変数は$\theta$です。
$\theta$はtにに依存して単調に変化する値ですので、置換積分をしていきます。
今回は置換積分のヒントが問題文中で与えられていますし、積分区間も変更されていますので、そのまま代入して計算しましょう。
$dt=\frac{b}{v}cos^{-2}\theta d\theta$
これをPの式に代入していきます。
$P=\int^{\infty}_{-\infty}k\frac{ze^2}{b^2}cos^3\theta dt\\=\int^{\frac{\pi}{2}}_{-\frac{\pi}{2}}k\frac{ze^2}{b^2}cos^3\theta\times\frac{b}{v}cos^{-2}\theta d\theta\\=\int^{\frac{\pi}{2}}_{-\frac{\pi}{2}}k\frac{ze^2}{bv}cos\theta d\theta\\=k\frac{ze^2}{bv}\int^{\frac{\pi}{2}}_{-\frac{\pi}{2}}cos\theta d\theta\\=k\frac{ze^2}{bv}\left[sin\theta\right]^{\frac{\pi}{2}}_{-\frac{\pi}{2}}\\=k\frac{ze^2}{bv}\left\{1-\left(-1\right)\right\}\\=2k\frac{ze^2}{bv}$
よって、(E)は「3、$\frac{ze^2}{bv}$」です。

運動エネルギーと運動量の関係動量の関係から、
$T=\frac{1}{2}mv^2\\mT=\frac{1}{2}\left(mv\right)^2\\mT=\frac{1}{2}P^2\\T=\frac{P^2}{2m}$
よって(F)は「8、$\frac{P^2}{2m}$」です。

(4)式と(5)式より、
$T=\frac{P^2}{2m}=\frac{\left(2k\frac{ze^2}{bv}\right)^2}{2m}=2k^2\frac{z^2e^4}{b^2v^2m}$
よって解答は「5、$\frac{z^2e^4}{mb^2v^2}$」

最後に(ウ)についてです。
大抵の人は「運動量保存則」「エネルギー保存則」のどちらかかな、というところまでは絞れると思います。
ここでエネルギー保存であるということを示すのは少し面倒なので、運動量保存ではないということを示したいと思います。
荷電粒子はX軸方向に無限遠から無限遠まで直線運動するだけですので、Y軸方向の運動量の変化は0です。
それに対して電子はこれまで解いた通りY軸方向に運動量を得ますので、運動量保存則が成立していないことが分かると思います。
ですので解答は「14、エネルギー保存則」となります。

解説は以上となります。
別記事で、
「運動量が相殺されて0になる」
「運動量と運動エネルギーの関係$T=\frac{P^2}{m}$」
の2点について補足したいと思います。

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