平成29年 物化生 問3-II【第一種放射線取扱主任者】

放射能の式$A=\lambda N$を利用します。

まずは原子数$N$を求めましょう。
カリウム$1g$の物質量は、$\frac{1}{39.1}[mol]$。
$^{40}K$の物質量は、$\frac{1}{39.1}\times\frac{0.0117}{100}=\frac{1.17}{39.1}\times10^{-4}[mol]$
アボガドロ数$N_A=6.0\times10^{23}$より$^{40}K$の原子数$N$は、
$N=\frac{1.17}{39.1}\times10^{-4}\times 6\times 10^{23}=\frac{1.17\times 6}{39.1}\times10^{19}[個]$

次に壊変定数$\lambda$を求めます。
$\lambda=\frac{ln2}{T}=\frac{0.693}{3.94\times 10^{16}}[s^{-1}]$

放射能の式に$N$、$\lambda$を代入すると、
$\frac{0.693}{3.94\times 10^{16}}\times \frac{1.17\times 6}{39.1}\times10^{19}\\\approx \frac{0.7\times 6 \times 1.17}{4\times 40}\times 10^{3}\\\approx\frac{420}{160}\times 1.17\times 10\\\approx\frac{480}{160}\times 10=3\times 10=30[Bq]$

F、G、H

$^{40}_{19}K$が$^{40}_{20}Ca$に壊変すると、質量数はそのままで原子番号が1増えています。
つまり中性子が1個陽子に変わったと考えればつじつまが合いますね。
$n\rightarrow p^++e^-$
より$\beta^-$壊変です。

$^{40}_{19}K$が$^{40}_{18}Ar$に壊変すると、質量数はそのままで原子番号が1減っています。
まずは陽子が1個中性子に変わったと考えればつじつまが合いますが、下記の2通りが考えられます。

陽電子を放出する場合。
$p^+\rightarrow n+e^+$
$\beta^+$壊変です。

陽子と電子が反応して中性子になる場合。
$p^++e^-\rightarrow n$
軌道電子捕獲(EC壊変)です。

「$\beta^+$壊変とEC壊変のどっちが起こるのか暗記していなければ解けないじゃないか」と思った方もいるでしょうが、実は簡単な話です。
先ほど$\beta^+$壊変では陽子から陽電子が放出されるような説明をしましたが、実際は電子と陽電子の対が生成されてから、電子と陽子が反応して、残った陽電子が放出されています。
敢えて書くなら下式のような感じでしょうか。
$p^+\rightarrow p^++\left(e^-+e^+\right)\rightarrow \left(p^++e^-\right)+e^+\rightarrow n+e^+$

$\beta^+$壊変は電子対が生成されるためのエネルギー(1.022MeV)が必要ですので、親核と娘核のエネルギー差が一定以上無ければ起こりません。
それに対してEC壊変は電子対生成の必要が無いので、親核と娘核エネルギー差が1.022MeV未満でも起こります。
ですので$\beta^+$壊変を起こす核種がEC壊変を起こすことはあっても、その逆はありません。

問題では答えるべき空欄が(G)の1つだけですので、EC壊変だけを起こすと考えるのが妥当ではないでしょうか。

(問題文中の割合を足すと89.1%+10.8%=99.9%ですので、10.8%が$\beta^+$壊変で、のこり0.1%がEC壊変という可能性も完全に否定はできませんが、その時は暗記してなかった自分が悪いと諦めましょう)

EC壊変に伴って生じる$\gamma$線のエネルギーは残念ながら暗記ですかね。
(H)の解答は「3、1.46」です。

$^{40}K$は天然の放射線源としても割とメジャーですので、壊変形式も含めて暗記しておいて損は無いと思います。

壊変が2種類に分岐する場合の部分半減期の式は次のようになります。
$\frac{1}{T}=\frac{1}{T_1}+\frac{1}{T_2}$

壊変定数を用いると次のようになります。
$\lambda+\lambda_1+\lambda_2$

今回は問題文中に載っている半減期(年)で計算しましょう。
$\frac{1}{1.25\times10^9}=\frac{1}{T_1}+\frac{1}{1.2\times10^{10}}$
1.25を1.2として計算します。
$\frac{1}{1.2\times10^9}=\frac{1}{T_1}+\frac{1}{1.2\times10^{10}}$
$\frac{1}{T_1}=\frac{1}{1.2\times10^9}-\frac{1}{1.2\times10^{10}}=\frac{10}{1.2\times10^{10}}-\frac{1}{1.2\times10^{10}}=\frac{9}{1.2\times10^{10}}$
$T_1=\frac{1.2}{9}\times10^{10}=\frac{4}{3}\times10^{9}$

よって解答は「4、$1.4\times10^9$」となります。

I

情報を整理しましょう。
$N_{10}$:固化時の$^{40}K$原子数
$N_1$:現在の$^{40}K$原子数
$N_2$:現在の$^{40}Ar$原子数
$N_{Ca}$:現在の$^{40}Ca$原子数

上記より以下の式が成立します。
$N_{10}=N_1+N_2+N_{Ca}$・・・(1)

ここで問題文より$N_{10}=N_1e^{\lambda t}$

壊変の分岐比から、
$N_{Ca}\colon N_2=89.1\colon 10.8$
$10.8N_{Ca}=89.1N_2$
$N_{Ca}=\frac{89.1}{10.8}N_2$

(1)に代入すると、
$N_1e^{\lambda t}=N_1+N_2+\frac{89.1}{10.8}N_2$
$N_1\left(e^{\lambda t}-1\right)=\frac{99.9}{10.8}N_2$
$N_2=\frac{10.8}{99.9}N_1\left(e^{\lambda t}-1\right)\approx 0.108N_1\left(e^{\lambda t}-1\right)$

J

$^{39}_{19}K$が$^{39}_{18}Ar$に変化するので、質量数はそのままで原子番号が1減る反応を選びましょう。
選択肢の中だと、
$^{39}_{19}K\left(n,p\right)^{39}_{18}Ar$
となります。

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