H30年物化生1-1その1(第一種放射線取扱主任者)


質量数147の原子核がα壊変してエネルギー2.3MeVのα粒子を放出した。このとき、娘核である反跳核のエネルギーは(ア)MeVである。
一方、質量数210の原子核がα壊変するときの壊変エネルギーが5.4MeVであれば、放出されるα粒子のエネルギーは(イ)MeVである。

α壊変のエネルギーに関する計算式を理解できている人は、値をそのまま式に代入して、下記のように計算して問題ありません。

(ア)の解答
$$E_d=\frac{4}{A-4}\times E_{\alpha}=\frac{4}{147-4}\times2.3=0.0643\cdots=6.4\times10^{-2}MeV$$

(イ)の解答
$$ E_{\alpha} = \frac{A-4}{A}\times Q= \frac{210-4}{210}\times 5.4=5.29\cdots=5.3MeV$$

シンボルは下記の通り
\(Q\):壊変エネルギー
\(E_d\):娘核の運動エネルギー
\(E_α\):α粒子の運動エネルギー
\(A\):親核の質量数

上の計算の意味が分からないという方は、下記に式の導出を示しますのでご覧ください。

α壊変におけるα粒子と娘核の運動エネルギーに関する問題は、運動量保存の法則エネルギー保存の法則の2つを利用します。
すなわち下記の2式により計算します。
$$運動量保存の法則\colon MV=mv\cdots\left(式1\right)\\エネルギー保存の法則\colon \frac{1}{2}MV^2+\frac{1}{2}mv^2=Q \cdots\left(式2\right) $$
\(M\):娘核の質量
\(m\):α粒子の質量
\(V\):娘核の速度
\(v\):α粒子の速度
\(Q\):壊変エネルギー

まずはじめに娘核の運動エネルギーをα粒子の運動エネルギーで表します。
$$\frac{1}{2}MV^2= \frac{1}{2}mv^2\times \frac{MV^2}{mv^2}=\frac{1}{2}mv^2\times \frac{m}{M} \times \left(\frac{MV}{mv}\right)^2 $$
式1より、
$$\frac{MV}{mv}=1$$
親核の質量数をAとすると、
$$\frac{m}{M}=\frac{4}{A-4}$$
したがって、
$$\frac{1}{2}MV^2=\frac{1}{2}mv^2\times \frac{4}{A-4}\times 1^2 $$
\(E_d\):娘核の運動エネルギー
\(E_α\):α粒子の運動エネルギー
とすると、
$$E_d=\frac{4}{A-4} E_{\alpha} \cdots (式3) $$

α粒子の運動エネルギーを娘核種の運動エネルギーで表すと、
$$E_{\alpha}=\frac{A-4}{4} E_d \cdots (式4)$$

次は運動エネルギーを壊変エネルギーQを使って表したいと思います。

式2を \(E_d\)、\(E_α\)で表すと、
$$E_d+E_{\alpha}=Q$$
式3を代入して、
$$\frac{4}{A-4} E_{\alpha}+E_{\alpha}=\frac{4}{A-4}E_{\alpha}+\frac{A-4}{A-4}E_{\alpha}=\frac{A}{A-4}E_{\alpha}=Q \\ E_{\alpha}=\frac{A-4}{A}Q \cdots (式5)$$

式3に式5を代入して、
$$E_d=\frac{4}{A-4} \times \frac{A-4}{A} Q=\frac{4}{A} Q \cdots (式6)$$

以上の式をまとめると、
$$E_{\alpha}=\frac{A-4}{4} E_d= \frac{A-4}{A}Q \\ E_d= \frac{4}{A-4} E_{\alpha}= \frac{4}{A}Q $$
α壊変を起こす核種は質量数Aが大きいものが多いので、上式から壊変エネルギーの大部分がα粒子に与えられていることが分かりますね。

上記のような計算が苦手な方は式を暗記して、得意な方は式を暗記せずにその場で導出しても良いかと思います。
ただし、暗記する場合でも式の導出方法は理解しておくことをおススメします。

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