H30年物化生2-1その3(第1種放射線取扱主任者)


前回の続きです。

\時刻tから時刻t+dtの間に働くクーロン力の大きさがFであり、また、荷電粒子の進行方向と、荷電粒子から見た電子の方向のなす角をθとすると、P(力積)は
$$P=\left|\int_{-\infty}^{+\infty}k\frac{ze}{r^2}\left(イ\right)dt\right|\cdots(1)$$
と書ける。なお、||は絶対値を示す。
ここで、
$$\frac{d\left(cot\theta\right)}{dt}=-\frac{1}{sin^2\theta}\cdot\frac{d\theta}{dt}\cdots(2)$$
また荷電粒子が電子に最接近した際の両者の距離を\(r_{min}\)とすると、
$$\frac{d\left(cot\theta\right)}{dt}=\frac{d\left(\frac{rcos\theta}{r_{min}}\right)}{dt}=\frac{1}{r_{min}}\cdot\frac{d\left(rcos\theta\right)}{dt}=\frac{\left(ウ\right)}{r_{min}}\cdots(3)$$
の関係があり、よって、(2)および(3)式より
$$dt=-\frac{r_{min}}{\left(ウ\right)}sin^{-2}\theta d\theta$$
を得る。これを(1)式に反映させ、さらに\(r=r_{min}sin^{-1}\theta\)の関係を用いると
$$P=\left|\int_{-\infty}^{+\infty}k\frac{ze}{r^2}\left(イ\right)dt\right| \\=\left(エ\right)\int_{0}^{\pi}\left(イ\right)d\theta=2\left(エ\right)$$
となる。
また電子の得た運動量Pと運動エネルギーEの間には\(E=\left(オ\right)\)の関係があることから、電子の得るエネルギー(=荷電粒子の失うエネルギー)は荷電粒子の電荷zeの(カ)乗に、また速さvの(キ)乗にそれぞれ比例する。

前回より荷電粒子と電子を結ぶ方向の力積のみ考慮すれば良いので、
\(\left(イ\right)=sin\theta\)

次に(3)式についてですが、微分できそうな\(cos\theta\)が残ってますので、とりあえず計算してみましょう。
$$\frac{1}{r_{min}}\cdot\frac{d\left(rcos\theta\right)}{dt}=\frac{r}{r_{min}}\cdot\frac{d\left(cos\theta\right)}{dt} \\=\frac{r}{r_{min}}\cdot\frac{d\left(cos\theta\right)}{d\theta}\cdot\frac{d\theta}{dt}=\frac{r}{r_{min}}\cdot\left(-sin\theta\right)\cdot\frac{d\theta}{dt}$$
\(cos\theta\)を微分しようとすると、\(\frac{d\theta}{dt}\)という形が残ってしまいます。そこでθとtの関係について見ていきます。

微小時間dtにおけるθの変化量をdθ、進行方向の変化量をdxとおくと、上図より、
$$dx=r_{min}cot\theta-r_{min}cot\left(\theta+d\theta\right)\\ \frac{dx}{dt}=\frac{r_{min}cot\theta-r_{min}cot\left(\theta+d\theta\right)}{dt}\\=r_{min}\cdot \frac{cot\theta-cot\left(\theta+d\theta\right)}{dt}=r_{min}\cdot \frac{d\left(cot\theta\right)}{dt}$$
単位時間当たりの進行方向の変化量は速度であるから、
$$v=\frac{dx}{dt}=r_{min}\cdot \frac{d\left(cot\theta\right)}{dt}\\\frac{d\left(cot\theta\right)}{dt}=\frac{v}{r_{min}}$$
よって\(\left(ウ\right)=v\)となります。
ここまで解いて(3)式を見返してみると、\(d\left(rcos\theta\right)=dx\)として、\(\frac{d\left(rcos\theta\right)}{dt}=v\)と計算することができたのだな気づきましたが、筆者的には\(r_{min}cot\theta\)を使う方が直感的に分かりやすいと感じたので、上記の解説を載せておきます。
この辺は数学のお話ですので人によって解き方も多少変わってくるのではないでしょうか。

以上より下記の2式が求まります。
$$P=\left|\int_{-\infty}^{+\infty}k\frac{ze}{r^2}sin\theta dt\right|\\dt=-\frac{r_{min}}{v}sin^{-2}\theta d\theta$$
この2式より置換積分を行うと考えて間違いないでしょう。
\(t|-\infty\rightarrow\infty\)
\(r|0\rightarrow\pi\)
より、
$$P=\left|\int_{-\infty}^{+\infty}k\frac{ze}{r^2}sin\theta dt\right|=\left|\int_{0}^{\pi}k\frac{ze}{r^2}sin\theta\cdot\left(-\frac{r_{min}}{v}sin^{-2}\theta d\theta\right)\right|\\=\int_{0}^{\pi}\frac{kzer_{min}sin\theta}{vr^2sin^2\theta}$$
\(rsin\theta=r_{min}\)より、
$$P=k\frac{zer_{min}}{vr_{min}^2}\int_{0}^{\pi}sin\theta d\theta=k\frac{ze}{vr_{min}}\left[-cos\right]_{0}^{\pi}\\=k\frac{ze}{vr_{min}}\left\{-\left(-1\right)-\left(-1\right)\right\}=2k\frac{ze}{vr_{min}}$$
よって\(\left(ウ\right)=k\frac{ze}{vr_{min}}\)となります。

非相対論的な速さでは
$$E=\frac{1}{2}mv^2\\P=mv$$
より、
$$E=\frac{1}{2v}\left(mv\right)^2=\frac{P^2}{2v}$$
よって\(\left(オ\right)=\frac{P^2}{2v}\)

\(P\propto zev^{-1}\)より、
\(E\propto P^2 \propto z^2e^2v^{-2}\)
したがって、zeの2乗、vの-2乗に比例します。

以上となります。
正直、主任者に合格するために力積の知識が必須かと言われれば、そうではないと思います。このような問題が本番に出たとしたら、数学や電磁気が得意でない限り後回しにしても良いでしょう。

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