H30年物化生問3-2その1(第一種放射線取扱主任者)


\(^{99}Mo\)は半減期66時間で\(\beta^-\)壊変し、その88%は\(^{99m}Tc\)に、残り12%は\(^{99m}Tc\)を経由せず直接\(^{99}Tc\)になる(下図参照)。\(^{99m}Tc\)はさらに半減期6.0時間で(H)して\(^{99}Tc\)になる。この際、(I)keVのγ線を放出する。\(^{99}Tc\)は\(\beta^-\)壊変して\(^{99}Ru\)(安定)になる。

過渡平衡にある\(^{99}Mo\)や\(^{99m}Tc\)の原子数と放射能の関係は、Iの(4)、(5)、(6)式の右辺に0.88を乗ずることにより求められる。したがって、100MBqの\(^{99}Mo\)と過渡平衡にある\(^{99m}Tc\)の放射能は(J)MBqとなる。

Iの(4)、(5)、(6)式とは下記の通りです。
$$N_2=\frac{\lambda_1}{\lambda_2-\lambda_1}N_{10}\left(e^{-\lambda_1t}-e^{-\lambda_2t}\right)\cdots(4)\\A_2=\frac{\lambda_2}{\lambda_2-\lambda_1}A_{10}\left(e^{-\lambda_1t}-e^{-\lambda_2t}\right)\cdots(5)\\\frac{A_2}{A_1}=\frac{T_1}{T_1-T_2}\cdots(6)$$

それでは解説していきます。

まず(H)についてです。
陽子数も中性子数も等しいがエネルギー準位が異なる核を核異性体と呼びます。核異性体がγ線放射や内部転換を起こしてより安定な核異性体になることを、核異性体転移(IT:isomeric transition)といいます。
よって(H)はγ線放射、内部転換、核異性体転移が入り得ますが、今回は選択肢に核異性体転移しかありませんので、(H)は「4、核異性体転移」となります。

次に(I)は「2、\(141keV\)」です。
\(^{99m}Tc\)は核医学検査のSPECT検査でも良く使用される核種です。SPECTのコリメータの選択や散乱線補正などにも関わってきますので、エネルギーは覚えておきましょう。

(J)は放射能を求めていますので(5)式または(6)式を使うことができますが、今回は過渡平衡が成立していますので(6)式を使いましょう。
(6)式の右辺に0.88を乗じて、\(T_1=66\times 3600秒\)、\(T_2=6\times 3600秒\)を代入すると、
$$\frac{A_2}{A_1}=0.88\times \frac{66\times 3600}{66\times 3600-6\times 3600}=0.88\times \frac{66}{66-6}=0.88\times \frac{11}{11-1}=0.88\times \frac{11}{10}=0.88\times 1.1=0.968$$
(最初から\(T_1=66\)、\(T_2=6\)を代入する方が賢いですが、壊変定数や放射能は秒の次元が含まれる単位ですので、代入の際は気を付けてください)
ここで、\(A_1=100MBq\)を代入すると、
$$\frac{A_2}{100}=0.968\\A_2=96.8MBq$$
よって答えは「5、97MBq」です。

次回記事ではこの問いの続きを解説します。

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