R1年物理問32(放射線取扱主任者)

(1)の解説

直進するか否かで選択肢は下記のように絞られます。
・粒子bは直進→磁場の影響を受けない非荷電粒子→光子 or 中性子
・粒子aとcは曲がっている→磁場の影響を受ける荷電粒子→電子 or α粒子

bについて
(4)より粒子bは電磁波の性質を示す→光子

a、cについて
aは軌道が1つ→aは単一エネルギー→α粒子
cは軌道が複数→cは連続エネルギー→電子(β\(^-\)粒子)

磁場の向きについて
フレミング左手の法則より、磁場の向きは紙面の表から裏方向です。
(中指をy’方向、親指をx方向)

(2)の解説

磁場中で運動する荷電粒子はローレンツ力を受けます。
α粒子にかかるローレンツ力\(f\)は、
$$f=2ev_aB\left(v_a:粒子aの速度\right)$$

粒子は曲がった軌道を進むため、外側に遠心力がかかります。
遠心力Fは、
$$F=mr\omega^2=m\frac{v^2}{r}$$

2つの力から、下式が成立します。
$$f=F\\2ev_aB=m_a\frac{v_a^2}{r}\\m_av_a=2erB\\p_a=2erB$$

運動エネルギー\(K_a\)は、
$$K_a=\frac{1}{2}m_av^2=\frac{\left(m_av_a\right)^2}{2m_a}=\frac{p_a^2}{2m_a}=\frac{\left(2erB\right)^2}{2m_a}=\frac{2\left(erB\right)^2}{m_a}$$
(ちなみに、上記の遠心力の話は正確な表現ではないのでご注意を)

次はα壊変の壊変エネルギーについて。
α粒子の運動エネルギーを\(K_\alpha\)、質量数をA、壊変エネルギーを\(Q_\alpha\)とすると下式が成立します。
$$K_\alpha=\frac{A-4}{A}Q_\alpha$$

α壊変すると原子番号2、質量数4だけ減少して(Z-2, A-4)となります。

(3)の解説

β\(^-\)壊変の際には反ニュートリノが放出されます。
(β\(^+\)壊変の際にはニュートリノ)
反ニュートリノにエネルギーが与えられるため、β\(^-\)粒子のエネルギーは連続スペクトルを示します。

β\(^-\)壊変を簡単にまとめると、中性子が(電子と反ニュートリノを放出して)陽子に変わる壊変ですので、質量数はそのままで原子番号が1増加します。
よって(Z+1, A)となります。

(4)の解説

光子の運動量をp、エネルギーをEとすると、
$$p=\frac{h\nu}{c}\\E=h\nu$$
原子核の速度をvとすると、運動量保存則より、
$$\frac{h\nu}{c}=Mv\\v=\frac{h\nu}{Mc}$$
よって反跳エネルギー\(E_m\)は、
$$E_m=\frac{1}{2}m\left( \frac{h\nu}{Mc} \right)^2=\frac{\left(h\nu\right)^2}{2Mc^2}$$

ひとこと

細かい議論は省いて簡単に解いてみました。
今回の問題は(3),(4)の問題文を読んでからの方が、(1)の粒子の予想がしやすかったのではないかと思います。
問題文を1から読んで分からなくなったら諦めて次に進むのも、試験時間を考えると一つの選択肢だと思います。ですが、ざっと問題文を全部読んでみることで、解けない部分のヒントが見つかる可能性があることも覚えておいて欲しいです。

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