H30年管理計測問1-2その5(放射線取扱主任者)

まず「中性子線量当量(率)計で得られる計数を周辺線量当量に換算するための1カウント当たりの換算係数」とは何か考えてみましょう。
例えば、Aカウントに換算係数kを乗じて周辺線量当量Bに変換する場合、式は下記のようになります。
$$A\times k=B$$
kの単位を[k]として、上式の単位を抜き出して考えると、
$$[Count]\times[k]=[\mu Sv]\\ [k]=\left[\mu Sv\cdot Count^{-1}\right]$$
よって、換算係数とは1カウント当たりの周辺線量当量であることが分かります。

以前、(ウ)の解説で周辺線量当量率についての計算を行いました。
周辺線量当量率は1時間当たりで求めましたが、(ク)では1カウント当たりを求めればよいことになります。

正味計数率は\(43[s^{-1}]\)ですので、1カウント当たりの時間は\(\frac{1}{43}[s]\)です。
(ウ)の計算から1時間当たりの周辺線量当量は\(7.8\times10^1[\mu Sv]\)です。
よって、1カウント当たりの周辺線量当量を\(x[\mu Sv]\)とおくと、\(\frac{1}{43}[s]\)と\(1[h]\)の場合の比をとって、
$$\frac{1}{43}\colon x=3600\colon 78\\x=\frac{78}{43\times3600}=5.0\cdots\times10^{-4}[\mu Sv]$$
筆者なら下記のように概算します。
$$\frac{78}{43\times3600}\approx\frac{72}{40\times3600}\\=\frac{2}{40\times100}=\frac{5}{10000}=5.0\times10^{-4}$$

次に(ケ)についてですが、(ケ)では(ク)の標準偏差を求めます。
(ク)計算は下式で行いました。
$$\frac{78}{43\times3600}$$
上式の各値の標準偏差について考えます。
まず3600についてですが、これは単に1時間を3600秒に換算しただけの値ですので、誤差の考えようがありません。標準偏差は0として考えます。
次に43ですが、この標準偏差は(キ)で算出しており、\(8.5\times 10^{-1}\)です。
最後に78についてですが、これは(ウ)で求めた値になります。
ここで考えて欲しいのですが、(イ)や(ウ)の計算は実測値ではなく理論値です。ですので、標準偏差について考えようがありません。
(この辺の話は次回詳しく解説します。)
強いて言うなら、中性子放出率の\(4.0\times 10^{6}[s^{-1}]\)に誤差は無い値なのか、といったことが考えられますが、さすがに問題文に書かれていない内容を試験で問うなんてことは無いでしょう。
78の標準偏差は0として考えます。

後は前回の記事で載せた以下の式で標準偏差を求めます。
$$\left(A\times B\right)\pm\left(A\times B\right)\sqrt{{\left(\frac{\sigma_A}{A}\right)}^2+{\left(\frac{\sigma_B}{B}\right)}^2}\cdots\left(1\right)\\ \frac{A}{B}\pm\frac{A}{B}\sqrt{{\left(\frac{\sigma_A}{A}\right)}^2+{\left(\frac{\sigma_B}{B}\right)}^2}\cdots\left(2\right)$$
一気に計算することもできるのですが、慣れていないとややこしく感じると思いますので、分けて考えていきます。

まずは\(43\times3600\)の標準偏差についてです。
(1)式について、\(A=43\)、\(B=3600\)、\(\sigma_A=8.5\times 10^{-1}\)、\(\sigma_B=0\)とおくと、標準偏差は下記のように計算できます。
$$43\times 3600\sqrt{{\left(\frac{0.85}{43}\right)}^2+{\left(\frac{0}{3600}\right)}^2}\\=43\times3600\times \frac{0.85}{43}$$
よって\(\frac{78}{43\times3600}\)の標準偏差は、(2)式で\(A=78\)、\(B=43\times3600\)、\(\sigma_A=0\)、\(\sigma_B=43\times3600\times \frac{0.85}{43}\)とおくと、
$$\frac{78}{43\times3600}\sqrt{{\left(\frac{0}{78}\right)}^2+{\left(\frac{43\times3600\times \frac{0.85}{43}}{43\times3600}\right)}^2}\\=\frac{78}{43\times3600}\times\frac{0.85}{43}\\=9.96\cdots\times10^{-6}\approx1.0\times10^{-5}$$

次回、78の標準偏差を0とした点について少し詳しく解説して、この問題の解説は終わりにしたいと思います。

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